菊正宗酒造 創業360年の家訓

 

 

 嘉納家家訓七カ条

 

一、父祖の業を専守すべし

二、必ず投機的事業を避けよ

三、時勢を見抜いて勝機を逃すな

四、主人は雇人と共に働け

五、勉めて公共事業に尽くせ

七、雇人はわが家族と思え

 

従業員に対して「共に働け、わが家族と思え」というように、ファミリービジネスにとって重要な観点が2つも入っています。従業員と共にあることが会社として大切なことなんだと教えてくれます。

 

一の「業を専守すべし」にも、選択と集中という精神が込められています。江戸時代の嘉納家は、材木商や網元などの商売をしていた傍らで、酒を造っていました。さまざまな商いの中から酒造業に特化していったことから、メインのビジネスを大切にしろ、という教えが伝わってきます。

 

投機的な事業をしない、勝機を逃さない、あるいは「公共事業に尽くせ」という、社会的責任や地域貢献を大事にする視点も、家訓といいつつかなりビジネスに寄ったものだなと感じています

 

菊正宗酒造

年商:110億

 

灘五郷の一つである御影郷に本拠を構える大手の一角。「キクマサ」の愛称でも知られる。創業は万治2年(1659年)と古く、業界の大手として清酒業界をリードしてきた。2009年に創業350年を迎えた老舗メーカーの一つである。古くは後醍醐天皇に、澤乃井より汲んだ水で酒を造り献上したといわれており、その時天皇より嘉納の名を賜ったとされている。創業御影の名門、嘉納家の本家(本嘉納家)にあたり、一門からは、同じ御影郷にある日本最大手の酒造メーカーである白鶴酒造の嘉納家(白嘉納家]や、講道館を創設し柔道を創始した嘉納治五郎の嘉納家(浜東嘉納家)

 

 

なお、「菊正宗」はとりわけ関東地方で根強い人気を誇り、辛口が多い。現在では手間がかかるためあまり行われていない、生酛造りにこだわっている。また、樽酒ではトップシェアを取っており、料理と一緒に飲むお酒として人気がある。

 

江戸っ子に愛された灘の「下り酒」 

当時、まだ決して大きな銘醸地ではなかった灘がその名を轟かせるようになったのは、18世紀末、江戸送りのいわゆる「下り酒」(クダラナイという言葉の語源)の人気が高まったことから。中でも造った酒のほとんどを“下り酒”にしていた本嘉納家の酒は、最高品質の酒として江戸っ子にこよなく愛されました。

 

良質な酒米と宮水という、六甲山系の自然の恵みを丹波杜氏の職人技で醸した辛口を携え、地の利を生かして港から遠くは松前(北海道)にまで取引に出かけたという本嘉納家。伊丹、池田といった先達を凌駕し、新興の酒造蔵としての名声を確かなものにして行きます。ちなみに、嘉納の姓については、約600年前、御影沢の井の水で酒を造り、これを後醍醐天皇に献上したところ、ご嘉納になったので嘉納の姓を賜ったとのいい伝えがあります。

 

※『嘉納』とは、「ほめ喜んで受け取ること」という意味です

 

 

(参照:フォーブスジャパン

 

https://forbesjapan.com/articles/detail/23996

 

老舗の360年目の挑戦

  

欧米の人たちの関心に合わせた日本酒づくりを

海外での日本酒ブームに対応するため、菊正宗ブランドも海外進出を本格化させています。現在、海外市場は年130〜140%の割合で売上が伸びていますが、特に中国での市場拡大には引き続き期待しています。

 

海外では、健康という側面で日本食や日本酒に対する評価が非常に高く、特にアジア圏では米由来のアルコール飲料である日本酒への理解度が高いことから、これからもマーケットは拡大していくと思われます。

 

マーケット規模としてはまだまだ小さいですが、欧米も伸びしろが高いと見ています。2018年9月に、フランスのパリで「百黙」のお披露目会をさせていただきましたが、関心度は非常に高いと感じました。

 

欧米の人たちは、私たちとは違った視点で日本酒を捉えています。日本では製法や加工技術が訴求ポイントになるのですが、欧米では、ワインと同じく日本酒の原料や、その土壌がどうなっているのかという点に関心があるのです。ですので、百黙も、欧米に対してはワインで言うところのテロワール(原料を生み出す土地の性質)の良さをアピールしています。

 

日本酒はワインと違って熟成(エイジング)されたもの、ヴィンテージものはまだまだ少ないですが、欧米の人たちの関心の持ち方を見てみると、そういった商品を作り出す必要も感じ始めています。

 

海外進出は時間もかかりますし、コミュニケーションをとって日本酒への理解を深めていかなければなりませんから、一朝一夕で成果は出せません。それでも日本酒への関心が高まっていますから、私たちだけでなく、日本酒業界全体で、関係者が連携していくことで展望が開けると考えています。

 

「人の記憶に寄り添う酒でありたい」 

今後の菊正宗を考えていく上で、まずは経営者として社員の雇用を守り、菊正宗のブランドを守ることが第一です。日本を代表する日本酒ブランドの一つという矜持を持っていくのが大事だと思っています。

 

そして守っていくと同時に、変えていく姿勢も持ち続けます。「攻撃は最大の防御なり」ではないですが、攻めていく気持ちは忘れません。

 

何年か前、菊正宗ブランドに関してお客様から意見を投稿してもらった時、印象的なことがありました。私たちは日本酒のメーカーとして、生酛造りや原料の米といったモノづくりへの思いを込めて造っています。しかし、お客様が菊正宗に感じる価値は、違ったところにありました。

 

「菊正宗は祖父が愛したお酒です」「父と酌み交わした思い出の酒です」「尊敬する上司と飲みながら教えを請うた思い出があります」といった、人生の節目に、大切な人と過ごした一時に共にあったお酒だったんです。

 

それぞれの人の時間や記憶に寄り添うお酒としての菊正宗が、これからもお客様にとって「しあわせな時間に彩りを添えていくお酒」としての役割を果たしていければ、酒造りに携わる私たちにとって、これ以上の喜びはありません。

 

 

 

 名門・灘高を経営する菊正宗の太っ腹

 

嘉納家家訓にあるとおり、歴代の当主は、積極的に公につくしてきた歴史があります。その最も顕著な例が、日本では珍しい企業立の学校「灘高」の経営かもしれません。

 

全国でも屈指の名門となった灘高ですが、カリキュラムも独特で、エリート高と言われながらも、そのOBには、著作家の中島らもさんなど、多士済々の顔ぶれが並びます。

 

 

灘地方で酒造業を営む、嘉納治郎右衛門(菊正宗)、嘉納治兵衛(白鶴)、山邑太左衛門(櫻正宗)によって設立された。同様に酒造業者が設立した学校として甲陽学院がある。

 

設立にあたっては白鶴嘉納家の縁戚で、講道館柔道の創始者であり、東京高等師範学校(東京教育大学を経て現:筑波大学)やその附属校(現:筑波大附属中・高)などの学校長職を25年間ほど務めた嘉納治五郎が顧問として参画。治五郎が柔道の精神として唱えた「精力善用」「自他共栄」が校是となった(この嘉納治五郎の影響で柔道の時間が体育とは別に週1時間ある)。

 

全国屈指の進学実績を誇る灘高の学生は、関西圏の高校でありながら、首都圏の大学(主に東京大学)に進学する学生が多い。関西圏の難関国立大学である京都大学や大阪大学に進学する学生もいるが、例年、京大の場合、医学部進学者が約半数、阪大の場合、医学部進学者が大半である。

 

毎年の高校別東京大学合格者数では上位を維持しており、灘高の学生の約半数は東大に合格・進学している。東大合格者数では開成高校を下回るが、率(学年の人数に対する合格者の割合)では上回り(学年の人数が、灘では約220名、開成では約400名と約2倍の開きがある)、首位になる年もある。

 

また、東大理科三類(東大最難関)、京大医学部医学科(京大最難関)、阪大医学部医学科(阪大最難関)の合格者数は、灘高が例年首位を獲得している。特に2013年においては東大理科三類27名、京大医学部医学科24名の合格者を出しており、東大・京大、両最難関学部合格者の5人に1人以上を輩出した。

 

 

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書籍名: 世界一簡単な「幸せを招く家訓」のつくり方

著者 : 幡谷哲太郎

発売日: 2015年6月1日

出版社: セルバ出版

価格 : 1,600円+税

 

URL  : http://www.amazon.co.jp/dp/4863672063