大丸の家訓 「先義後利」

 先義而後利者栄」 

大丸 下村彦右衛門 

 

 (参照:豪商からの伝言) 

http://goshom.com/2011/03/post_1.html

   

創業者 下村彦右衛門正啓

 生誕:1688年(元禄元年)

死没:1748年(寛延元年)5月15日。

 

京都伏見にて生まれる。父・下村三郎兵衛兼誠は摂津国茨木の武将・中川氏の家臣の子孫で、大坂の陣後、商人になった。正啓はその第五子、三男として後継ぎとなり、19歳の時に行商を始めた。背が低く、頭が大きく、耳たぶが垂れ下がってた風貌で、人情に厚く、商売を成功させたことから、「福助人形伝説」の一人として伝えられるようになった。歌川広重『名所江戸百景』には「大伝馬町呉服店」として。江戸末期の江戸店の様子が描かれ、当時の隆盛を今に伝えています。 

 

正直・律義で慈愛深く 

「人は正直で慈愛に富むのが第一。衣服や食事のおごりもいけないが、心のおごりが最もいけない。いかに才知に優れていても不義理な人間は役に立たない。まして主人たるものは、正直・律義で慈愛深くなければ多くの人の上には立てない。」

 

大丸の業祖、下村彦右衛門正啓の遺訓である。併せて「世間では目先のことだけを考えて商いをする者があるが、そういうやり方は嫌いである」とも言い残している。

 

享保二年(1717年)、29歳で京都・伏見に大丸の前身である呉服屋「大文字屋」を開店した彦右衛門は、その後順調に商売を広げていったが、創業20年の節目を目前にした頃、筍子(じゅんし)の言葉を借りて自らこう記したという。

 

「先義而後利者栄(義を先にして利を後にする者は栄える)」

 

これを掛け軸にし、京都・大阪・名古屋の全店で座右の銘とするように命じた。事実、彦右衛門はかねてから貧しい者に施しをいとわない「義の人」であった。庶民の絶大な人気を得たのもうなずける。

 

この銘が飾り物でなかったことを証明したのが創業から120年後、天保8年(1837年)の「大塩平八郎の乱」である。

 

「大丸は義商なり」

 

数年にわたり襲った「天保の大飢饉」により、餓死者が多数出るなど世の中には暗雲がたれこめていた。「天下の台所」と呼ばれていた大阪でも状況は同じである。

 

大阪町奉行の子に生まれた大塩平八郎は、与力などを歴任した後、私塾「洗心洞」を開き、多くの門弟に「知行合一(ちこうごういつ)」を唱える陽明学を教えていた。世の惨状を見かねた大塩は、救済策を奉行所に建言するが、一向に相手にされない。そこで、ついには自宅に火を放ち、門下生らとともに決起することとなった。

 

兵火に焼かれた家は約2万戸。大阪市中の4分の1にも上り、死傷者は二万数千人と記録されている。豪商達も多数襲われたが、そのなかで襲撃を免れた店があった。「大丸」である。大丸の前にきたとき、大塩は「大丸は義商なり。犯すなかれ」と叫び、民衆を抑えたと伝えられている。「先義後利」-。彦右衛門が定めた理念を、後に続く人々が愚直なまでに遵守してきたことが「奇跡」を呼び起こした。この言葉は、制定以来280年を経たいまも、大丸の社是として大切に受け継がれている。

  

 「律儀程身の為能き事は無之候、人はあほうと申候共律儀成るほど能き人はなし」(大丸・主人心得の巻)

正直、実直であることほど、商人の立身にふさわしいことはない。他人が「あいつはあほだ」と言おうが、気にしないで正直、実直を貫く人こそ、商家の主人にふさわしい人

  

 

■『大丸』創業者の遺訓 

下村右衛門正啓(1746年:延享5年没)

 

主人心得の巻 

1)天下の御法度を承知して、かたく守ること。  

2)天下の御法度であるけれど、「これぐらいのことは世間では誰でもするから構わない」などという者がいるが、それは私が大嫌いなことである

3)「これは世にしられてないことだから構わない」と考え、道理に合わない事をするのは、険悪というべき最も悪い事で、固く慎むべきことである。

4)自分が規則に反していて、下の者に規則を守らせようとするのは、とんでもないことである。固く心に決めて、そういうことはすべきではない。

5)策をめぐらして人を説得しょうとするのは、なおさらいけないことである。自分の言動について、いつもこれは策略ではないか、正道にかんっているのかと、省みながら気をつける事が大切である。

6)第一に心を正しく持ち、道理に合っているかどうかをよく考えて、自分が勤めるべき事は余念なくしっかり勤めて、その結果をあせらず、あとは自然に任せておくべきである。勤めが熱心なあまり、他へつまらぬ詮索をするようになると、そのうちに独断が出てきて、前の成果をすべて無にするものである。この事をよく心得ておくべきである。

7)ただ、人が過ちをなかなか改めず、差し支えのないことをも恥ずかしがって、過ちをごまかして言いくるめようとするのは、たいへん心のせまいことである。 私は「過ちを恥じない」ということを第一にこころがけてきたので、自分の過ちを隠そうとする人にはいやしさを感じる。そのような人には大事な頼み事はしない。そう心がけている。

 8)主人たるものは、自分の方から誠実さをもって人を使う事が大切である。 主人は不誠実な気持ちで人を使っておいて、

奉公人には誠実をつくさせようというのは、あってはならないことである。 

9)律儀ほど身の為に良いことはない。人があほうと云おうと何と云おうとかまうことはない。律儀である人ほど良い人はない。聖人、君子はみな律儀を第一とされたのである。

 

大丸の現在

  

参照:産経WEST 

https://www.sankei.com/west/news/171120/wst1711200002-n3.html

 

 大丸の歴史をひもとくと、創業は江戸中期の享保2年にさかのぼる。8代将軍、徳川吉宗の時代。業祖である下村彦右衛門正啓が、交通の要所だった京都・伏見に、呉服店「大文字屋」を開いた。

 

 9年後の享保11年には、現在の心斎橋店(大阪市中央区)がある場所に大坂店を開業。その2年後には名古屋店を開き、ここで初めて「大丸屋」と名乗った。寛保3(1743)年には、江戸・日本橋大伝馬町に江戸店を開業した。

 

 こうしたなか、経営の考え方の軸となる言葉が大丸内に浸透する。元文元(1736)年、社是「先義後利」が全店に布告された。

 

 この言葉は中国の儒学の祖の一人、筍子の「義を先にして利を後にする者は栄える」という言葉から引用されたもので、企業の利益はお客や社会への義を貫き、信頼を得ることでもたらされるという意味がある。現在は「お客さま第一主義」「社会貢献」という意味で経営に生かされている。

 

 こうした社是が、経営の危機を救った。中学生の歴史教科書で習う天保8(1837)年の大塩平八郎の乱。飢饉(ききん)により全国各地で百姓一揆が起こる中、大坂でもコメ不足に陥り、大坂町奉行所の元与力、大塩平八郎らがコメ買い占めを図る豪商を襲う幕府への反乱だった。

 

平八郎は大丸に対しては「大丸は義商なり、犯すなかれ」と仲間に指示。大丸は店舗の焼き打ちを免れたと伝えられる。大丸が「先義後利」の理念で、貧しい人に食事や古着などを提供する〝ボランティア活動〟を実践し、利益を社会に還元する取り組みが知られていたためだ。

 

業界首位…苦難も

明治に入って東京店や名古屋店はいったん閉鎖したものの、発祥の地・京都では明治45(1912)年、現在の京都店がある四条高倉に新店をオープンした。大正時代には百貨店となり、週休制(月曜定休日)を導入。戦後の昭和28年にはクリスチャン・ディオールと独占契約を結ぶなど、百貨店業界初の試みを相次ぎ打ち出していた。

 

昭和36(1961)年には国内の小売業界で売上高ナンバーワンを達成し、43年まで業界トップの座を維持。海外出店も果たした。平成7(1995)年の阪神大震災で神戸店(神戸市中央区)が被災したが、「先義後利」の精神で幾多の苦難を乗り越えてきた。

 

ただ、こうした拡大・成長路線が、バブル経済の崩壊なども重なり、経営悪化の一因となった。売上高に対する本業のもうけの比率(営業利益率)は一時1%程度に低迷。100円を売り上げて利益が1円程度しか残らない状態だった。経営改善に取り組むため、9年に奥田務氏(現J・フロントリテイリング相談役)が社長に就任。部下に「未来の百貨店像」のあり方の策定を指示し、百貨店業務の無駄を徹底的に省き、経営の効率化を推進した。かつて勤務した豪州の店舗を閉鎖するなど、収益改善に荒療治を施した。

 

大丸は19年、名古屋発祥の百貨店、松坂屋と経営統合し、持ち株会社J・フロントリテイリングが発足。百貨店だけではない総合流通業グループに変貌した。奥田氏はこれまでの産経新聞社の取材に対し「社是『先義後利』は経営に欠かせない理念」と強調している

   

売上高 :4,670億円 (2009年2月期中間予想・単独)

従業員数:3,292人

 

企業の寿命30年説・・・

百貨店に未来はあるのか?

 

   

100年以上もの間、「お買い物の王者」として君臨してきた百貨店が苦境にあえいでいる。米AmazonやZOZOTOWNなどのEC企業が台頭し、消費者の購買行動はガラリと変わり始め、百貨店は多くの消費者にとって不要な存在になっているのではないでしょうか?

 

商いのコツは、まずあきれるぐらいの社会貢献に勤める。その後、ちょっこり利益を頂戴する?のが秘訣なのかもしれません。企業の寿命は30年といわれるなか、100年をこえる歴史を誇る老舗企業は、大丸さんの例が代表するように、社会た貢献が得意な会社でした。ただし、200年前の貢献と100年前の貢献、そして現代の貢献は、生活様式の変化にあいなって、違った角度での貢献が必要なはずです。

 

例えば、今をときめく、AmazonやGoogleだって、借金を怖がらず、ガンガン投資をして消費者の利便性だけを追及した結果がマーケットに受け入れられたのでないでしょうか?

 

例えばGoogleマップの利便性は1円の税金をつかわず外資の一企業の撮影車を日本中に走り回わしたことに由来します。まさに先に義(便利)があり、後に利益がついてきた典型です

 

そう考えると、青年会議所の現役メンバーさんは、本業や家族をほっぽりだして『義のために汗をかく尊い存在です。僕自身、いつ『利』に恵まれるかドキドキしていますが、先義後利の精神で家訓ニストとして活動しています。JCに代表される中小零細企業のオーナーが掲げる「貢献」と、大手企業の貢献にギャップはないでしょうか?もし貢献をさぼっているとしたら、どんな歴史や売上があっても、市場から選ばれる会社にはなりません。

 

お金は好きだけど、まずは小さくやせ我慢。京都の四条の大丸さんでそんなことをかんがえました

 

 

参照:Forbes JAPAN

https://forbesjapan.com/articles/detail/23986?cx_art=trending

 

 「アマゾンもいつか潰れる」 真実味を帯びるベゾスの発言 

 アマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が先ごろ行った社内会議で自社について、「大きすぎて潰せない会社ではない…いつか倒産するだろう。大企業の寿命は30数年ということが多い。100年以上ではない」と述べたことが明らかになった。

 

このベゾスの発言については、「正しい」と見るべき幾つかの理由がある。ある投資家は、「小売業者は全て本質的に、最終的には倒産することになっている」と指摘している。皮肉な見解ではあるが、現実を反映した意見だ。

 

小売業にはサイクルがある。ある1社が一度は人気を集めたとしても、対応を誤ればビジネスは減速し、その企業は最終的に姿を消すことになる。私たちはそうした例を幾つも目にしてきた。「変わることができる」企業は例外であり、標準ではない。

 

アマゾンは現在、米国内で2番目に規模の大きい小売業者だ。それほど大規模な企業が消えることがあり得るだろうか──? 顧客の声に耳を傾けることがなくなれば、そうなることもある。だが、今のところアマゾンにそうしたことが起きる可能性は、極めて低いと考えられる。

 

アマゾンの今後

アマゾンがその収益率によって評価されているわけではないことは、よく知られている。収益性で評価されていたとすれば、同社の株価は現在とは比べ物にならないほどの安値になっているはずだ。

 

アマゾンはこれまで数多くの分野でいくつもの素晴らしい仕事をしてきたが、その一つが金融市場に自社の評価方法を変えさせたことだ。アマゾンの利益率の伸びは増収が実現した後に実現するものだとして、増収率で自社を評価させている。

 

そして、市場はこれまでのところ、アマゾンの説明を受け入れている。売上高が毎年20~25%の増加を続ける限り、市場は同社のさらなる利益の増加と、株価の上昇を見込むはずだと考える人は多い。

 

だが、アマゾンでも売上高が2000億ドル(22兆5300億円)を超えれば、その後は新たな収入源を見つけることが難しくなっていくだろう。例えば、米国内のプライム会員の数をこれから倍増させることはできない。それを実現できるだけの未加入の世帯は、もう残っていないからだ。

 

株価上昇が止まればどうなる?

アマゾンは書籍の販売を始めたときのように、オンラインで事業を行うことができる新たな分野を探し出さなくてはならない。新たな分野で収入源を見つけることができなければ、同社の事業拡大のペースは鈍化することになる。売上高の伸びに力強く後押しされてきた株価も、伸び悩むようになるだろう。

 

株価の停滞が意味すること 

株価の上昇が止まることはアマゾンにとって、その他の大半の企業よりずっと重大なことだ。中堅以上の従業員の多くが、インセンティブとして自社株報酬を得ているためだ。

 

株価が上昇して報酬が増えるということがなくなれば、すでに他社から引く手あまたの従業員たちが、転職を考える可能性は一層高まるだろう。アマゾンを離れる従業員が増え始めれば、株価が伸び悩む同社が新たな人材を確保することは困難になる。全ての歯車が急に止まってしまう可能性もある。

 

アマゾンについて、消えてなくなるにはあまりにも日常の一部になりすぎているという人もいるかもしれない。確かに、しばらくの間はそうだろう。だが、企業が最も優秀な人材を失えば、イノベーションの力も失われる。他社に追い越されるのも、それほど遠い先の話ではないということになる。

 

アマゾンと直接競合する企業にとってはこれまで、かなり厳しい状況が続いてきた。利益に関わらず低コストで資金を調達できる能力と最高の人材を確保できる能力の双方を持つことで、アマゾンは業界を支配することができた。

 

だが、ベソスの見解は正しい。永遠に変わらないものは一つもない。アマゾンが終わりを迎える時期はまだまだずっと先かもしれない。だが、そうではないかもしれない

 

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