鮒づしの老舗「喜多品」の再生とスローフード

 

 

 

 

 

 

 「百匁(ひゃくめ)百貫千日」 

総本家喜多品老舗家訓‐ふな寿司

 

 

江戸初期の元和 5年(1619年)、伊勢から大溝藩(高島市)に移った藩主に従って 山形屋九右衛門が高島に移り、代々賄方として仕え作ったのが起源とされています。

 

びわ湖の西岸、近江高島の地で、先人達の教えを守り、鮒寿し造りをしております。 喜多品老舗の鮒寿しの歴史は、 それ以来、琵琶湖の固 有種である天然のニゴロブナだけを使い、現代では稀になった木桶仕込みで、自然の営み に任せた鮒寿しづくりを続けています。

 

ふなずしは一般に、春先にふなを塩漬けして土用の頃取り出し、飯漬け発酵させると冬に食べられる。しかし、喜多品では塩漬け2年、飯漬け1年、さらに新しい飯に漬け替え数カ月置く。

 

家訓の「百匁(め)百貫千日」は、1尾百匁(もんめ)(375グラム)ほどのニゴロブナを使い、百貫(375キロ)入る木桶で漬け、千日以上もの歳月を 千日漬け(百匁百貫千日)を基本とし、春 に琵琶湖で揚がる鮒を2年塩漬け、そのあと、飯に漬け替えて1年発酵させます。

 

鮒ずし職人の経験と江戸時代より蔵に棲みつく良質の 乳酸菌、そして昔から米と水に恵まれ、発酵食品の製造に適した高島の気候でじっくりと 熟成させることで美味しい鮒寿しが生まれます。

 

注文すれば1分で出てくるファストフードが全盛の世の中にあって、出荷まで1000日かかる「鮒ずし」は究極のスローフードではないでしょうか?

 

 

 

ふなずし老舗、味継ぎ再開 滋賀・高島で創業400年

 

.3年漬け込んだふなずしが完成し、再出発への思いを語る北村篤史さん、真里子さん夫妻

 

 創業400年を誇るふなずしの老舗で、2012年春に廃業した滋賀県高島市勝野の「総本家喜多品老舗」が、営業を再開する。和菓子メーカー叶匠壽庵(大津市)が全面支援する。先代北村真一さんが一線を退き、娘の18代目真里子さんと夫篤史さんが二人三脚で再出発を誓う。3年近く漬けたふなずしの木桶(おけ)が開かれ、甘酸っぱい香りが漂った。

 

いいフナ(1127)」の日に 先代の娘と夫 「二人三脚」 

 喜多品は1619(元和5)年創業。伊勢から高島の大溝藩に移った藩主分部光信の賄い方、山形屋九右衛門が始めた。「百匁(ひゃくめ)百貫千日」が家訓。100匁(375グラム)のフナを100貫(375キロ)の木桶で千日漬ける昔ながらの製法を伝える。価格の高騰や消費者の嗜好の変化で売り上げが低迷、廃業に至った。

 

 一家は篤史さんの郷里愛知県に引っ越したが、叶匠壽庵会長だった故芝田清邦氏が「滋賀の食文化を絶やしてはならない」と支援を持ちかけ、「伝統の味を継続できるなら」と再開を決めた。高島に戻り、13年春に漬け込みを開始。塩漬け2年、飯漬け8カ月、「1127(いいフナ)」の日の再開にこぎ着けた。

 

 高島沖のニゴロブナを使う伝統を守りながらも、コメや隠し味のみりんをグレードアップ。以前は販売しなかった規格外のふなずしを飯と一緒に刻み、ゆずの蜜漬けと合わせたり、漁師の要望を受け子がないオスを安価で提供する新商品を開発し、すそ野を広げる工夫をした。また仕入れに無駄が生じないよう、いつ誰が捕獲し、どの桶に漬けたかを追跡できる新しい商品管理システムを導入した。

 

 創業400年の2019年に向け、経営を軌道に乗せ、自立するのが目標。篤史さんは「3年かかったが、良いものができた」としみじみ。真里子さんは「廃業で多くの方にご迷惑をかけた。再出発も自分たちの力ではない。再びブランドとして認めてもらえるよう努力したい」と話している。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

■消えゆく郷土の味とスローフード

 

四季のある日本。そして南北2000kmにも上る日本列島には、山海の珍味があふれています。

2014年にはユネスコによって「和食」が無形世界遺産として登録もされました。

 

しかし、一方で郷土に根付いた味については、絶望的な状況がつづいています。400年続いた琵琶湖の鮒づしが経営危機に陥り、一度は店を閉めたように、食文化の変化、とくにファストフードの伸長により、先祖から受け継いだ多くの郷土料理が、絶滅の危機に瀕しています

 

地域の風土にねざした郷土料理は、文字通り、地域の山、川、そして人によって育まれた貴重な文化遺産です。そして、こうした貴重な財産をまもる取組として「スローフード」の運動が注目をあびています。

 

スロー・フード運動は、1986年にイタリアで、米国系ファスト・フードの開店への反対運動を契機にスタートした。それは、反対のための反対といった枠を越え、ファスト・フードに象徴される効率至上主義の社会に対して、文化運動として成立していきます。運動のシンボル、”かたつむり”がよくその性格を表しているのではないでしょうか?

 

とくに、「味の箱舟」というユニークな取り組みがあります。今消えそうにしている郷土の味をまもる取組です。

地域の味をまもることは、地域の文化、生活、自然環境を守るということと同義です。

たとえば、鮒ずしの場合、経営危機の一端は、魚がとれなくなったこと。材料を仕入れる琵琶湖にブラックバスなどの外来魚が増えたため、おとなしい在来魚は駆逐される寸前です。地域の味を守る取組は、こうした地域全体の問題を解決させる1つのシンボルにもなりえます。

 

■スローフードと「味の方舟」 

 

   「スローフード宣言」

 産業革命の記章の元、発展を続けてきた我が世紀は、機械を発明し、それを生活の基盤としてきました。私たちは、そのスピードのもと奴隷化され、私たちの生活に踏み込みファストフードを食べることを強いる、ファストライフというウイルスに犯されているのです。私たちホモサピエンスは、いまこそ、種の絶滅の危機に突き進むスピードから自らを解き放たなければなりません。

  

 静かな生活の営みを守ること、それが普遍的なファストライフの愚行へ対抗する唯一の方法なのです。このファストライフの狂乱を効率と勘違いしている人々に対抗し、私たちは感性に訴える喜びとゆっくり持続するたのしみを保証することこそ、ふさわしいのです。

 

この私たちの反撃はスローフードの食卓から始めなければいけません。そして、郷土の風味とその含みたるものを再発見し、私たちの生活を退化させるようなファストフードの波を打ち消そうではありませんか。

 

 生産性の名の元に、ファストライフは我々の在り方そのものを変え、この地球の環境と私たちを取り巻く景色を脅かしているのです。そこに、いまスローフードが、唯一のそして進歩的な答えとして現れたのです。嗜好を没落させるのではなく、発展、成長させること、それが、真の文化なのです。国際的な経験や、知識、そして何らかの政策の交流がこれらを推し進める最良の方法なのです。

 

 スローフードは、より良い未来を保証します。スローフードは、このカタツムリのシンボルに象徴されるように、

ゆっくりと、国際運動へと推し進める多くの支援者を必要とするものなのです。           

 

(パリ、オペラ座、1989年11月9日)  【日本スローフード協会・ホームページより引用】 

 

 

(参照:OurWorld国連大学ウェブマガジン) 

http://ourworld.unu.edu/jp/slow-food-movement-growing-fast

 

 

おいしくて、きれいで、ただしくて、地球に負担をかけないものは何か? それは「スローフード」だ、と答える人が世界中で増えている。

 

スローフード運動は、ファストフードの成長および世界的な食料システムにおけるその他の変化を受けて、1989年にイタリアで始まった。それから25年が経過した現在、スローフード運動は150カ国以上に1,500を超えるコンヴィヴィウム(支部)を持ち、その会員数は数百万人に上る。会員の多くは、料理人、農家、漁師、活動家、研究者、生産者など、食に強い関心を持つ人々である。

 

スローフード運動の主な使命は、「地域の食文化や伝統の消滅を防ぎ、ファストフードやファストライフの席巻を阻止し、自分たちの食べている物について、またそれがどこから来て、私たちの食べ物の選択がどのように世界に影響を与えるかについての人々の興味の減退に対抗する」ことである。これは確かにかなり壮大な探求であるが、「おいしい、きれい、ただしい」という一般的な言葉を使って、以下のようにわかりやすく定義することができる。

 

生産者および生産物は、「おいしい、きれい、ただしい」というテーマを満たすために、例えば「オーガニック」や「フェアトレード」といった認証を必ずしも受ける必要はない(もちろん受けた方が望ましいのではあるが)。また、サステイナビリティ(持続可能性)という言葉が大々的に取り上げられることもない。地球と人々を正しく扱うということが、この組織の哲学における前提である。それは、食べ物を単に商品とみなす考え方を否定し、食の生物多様性を世界の文化的多様性の象徴ととらえ、その両方を守ろうとする理念である。

  

 

味の箱舟 

スローフードは、よりただしくきれいな食料システムについて話し合うだけでなく、味の箱舟というユニークなイニシアティブを通じて言葉を実行に移し、天然食材の農業生物多様性や、地球上の伝統的で文化的重要性の高いさまざまな食材を保護するため、具体的な行動を起こしている。箱舟は、「地球全体の文化、歴史、伝統に属する小規模な良質の生産」を将来の世代も継続できるよう、そうした生産をまずは特定し、次に促進・保護することを目的に、いわば「世界を旅して」いる。

 

2014年のイベントの第一のテーマである味の箱舟は、2018年までに「絶滅の危機に瀕している」10,000種類の食材を保護することを目指している。現時点で108カ国2,000種類以上に上る食材が特定され、登録されているという説明。これらのほかに、さらに認定候補の数千種類の食材が、箱舟をかたどった600平方メートルの印象的なディスプレーに展示されるイベントも実施、期間中、出展者や来場者たちは自分たちの生産物をこのディスプレーに加えていき、近い将来に味の箱舟の各委員会による認定を受けられるようノミネートした。

 

 

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