「陰と陽」と二宮尊徳

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

■二宮尊徳「一円観」

世の中には、善悪、貧困、苦楽、そして生死など互いに対立し、対称になっているものがたくさんあります。尊徳先生は、一見対立している2つの因子も、円のなかに入れしまえば、善と悪さえも、対立することなく溶け合い調和し合って世の中が出来ていると考えました。

 

その生涯で様々な改革を実現させた尊徳先生は、反面、多くの敵を抱えた人生でもありました。小田原のお殿様から、才能をこわれ農民の身分から、武士にとりたてられたものの反目する家臣たちは様々な嫌がらせをしたそうです。ある日、我慢の限界をこえた尊徳先生は、赴任地であった桜町から失踪し成田山に逃げ込みます。

 

成田山では、21日間にも及ぶ断食の修行をおこない、至った境地が、紹介した「一円観」という概念です。

それまでの尊徳先生にとって、復興事業を邪魔をするものは悪者であり、自分にとっての敵でした。そうした気持ちは相手方にも伝わり、互いは反目しあい益々、敵対心をあおります。

「一円観」の考え方では、完全な善も、完全な悪もないことを説いています。善も悪から出で、また悪も善から生まれるもの、お互いは溶け合い調和し世の中をつくっています。この考えは、中国の道教でいう「太極」、タオ(道)という概念そのものです。

 

尊徳先生は、失踪後、村人。そして先生を追い出した家臣たちに請われて再び桜町の地に降り立ちます

 

その頃こんな歌を詠まれたそうです

「見渡せば 敵も味方も なかりけり おのれおのれが 心にぞある」

 

尊徳先生が苦心のすえ農村振興に努めた桜町は、現在の栃木県に位置しています。いまでは荒地であった面影はなく、田園風景がひろがる豊かな大地が広がっています。桜町はその後名を変え、二宮町(2009年より町村合併で真岡市に編入)となりました。もちろんこの町名は、二宮尊徳先生の偉業をたたえ町民たちが名づけたものです。日本には偉人が多くいますが、その名が町名になったケースは非常に稀です。実際、織田、豊臣、德川といった三英傑も自分の名は町村名にはなっていません。それだけ、尊徳先生は特別な人であったことを伝えるエピソードではないでしょうか?

 

■世界は「陰と陽」で出来ている!

 

陰陽(いんよう)とは、中国の思想に端を発し、森羅万象、宇宙のありとあらゆる事物をさまざまな観点から陰(いん)と陽(よう)の二つのカテゴリに分類する思想。陰と陽とは互いに対立する属性を持った二つの気であり、万物の生成消滅と言った変化はこの二気によって起こると考えるものです。

 

このような陰陽に基づいた思想や学説を陰陽思想、陰陽論、陰陽説などと言い、五行思想とともに陰陽五行説を構成してきました

 

「陰と陽」の関係を明快に表すのが、画像の「太極図」です。

陽(ひかり)がいきつくと、陰(かげ)となり、また陰も、つきつめれば陽となります。

 

古くから中国では、この世のあらゆる事象は、「陰」と「陽」の相反する二つの性質を持ち、両者の調和によって世界が保たれていると考えてきました

 

わかりやすい例を挙げると… 

【陰】女、夜、裏、地、柔、弱、退、逆、静、暗、凹

【陽】男、昼、表、天、剛、強、進、順、動、明、凸

 

 

全てのものは陰と陽を背中合わせに抱えており、二つを中和させる“気”によって調和を保っている。

家庭でも職場でも、男女の力関係のバランスが取れていると家庭生活も仕事もスムーズに進みます。住まいでも、日当たりが良い部屋も必要ですが真夏の暑さの中では涼を取れる日陰の部屋も必要です。

 

全てにおいて、このような「陰陽のバランス」が大事だと、老子は考えていたようですね。 

そして、たくみに「バランス」を取りながら生きていきなさいよ、というのが老子の教えです。

 

  

これを家訓に当てはめると

「幸せになりたいならまず他人を幸せにしろ」 

「得たいのなら、まずは与えなさい」

「人生に無駄なものなし」

  

物事の一面のみに固執するのではなく、二面性を受け入れてその両面を大切に、バランスの取れた生き方をする。

「人生に無駄なものなし」との格言のとおり、いい経験はもちろん、悪い体験にこそ、成功の種が潜んでいるはずです。経験を教訓に還ることができれば、それは財産になります。

 

明治維新からたかだか180年。西洋の考えは海を渡ってきたのはつい最近のことです。

しかし中国の思想は、もっと深い部分で日本の文化をつくってきました。「陰と陽」の思想と家訓が伝えきたアイデンティティは、根本でシンクロしていると幡谷は考えています。

 

 

 ■松下幸之助と「陰と陽」

 

「好景気よし。不景気なおよし。」(松下幸之助)

 

陰と陽の世界を敷き詰めていくと、成功の種は必ず失敗の中で育っていくことと理解することができます。

そして世の中で成功した偉人の多くが、この「失敗」を大切にしています。

 

「好景気よし、不景気なおよし」とは、松下幸之助さんの言葉です。

また、野球界のレジェンド、イチロー選手は、ここまで活躍できた一番の要因を「スランプのおかげだ」とも表現しています。

 

会社を経営するなかで、成功に導くこと、あるいはご家庭のなかで、家族の安泰、子どもたちの健康を願うなかで、陽(ひかり)ばかりを追い求め、陰(かげ)をおざなりにしてきたことってないでしょうか?

 

電化製品や社会資本が発達し、現代社会は空前の繁栄のなかで暮らすことができます

一方、毎日の生活のなかに漂う閉塞感があるのも事実です。

幸せを実感できない現代人は、「陰」を忘れ、結果「陽」を感じることに鈍感になってしまったのかもしれません。

 

いまこそ、「陰と陽」の思想に立ち戻り、「陽」ばかりでなく。「陰」を大事にしていくことが求められます

 

世界一の自動車メーカーとなったトヨタ自動車では、こうした「陰」の部分を大事していることが知られています

海外でスカウトされたあるアメリカ人の幹部は、会議の席で、自分の実績を延々と報告したそうです。しかし、トヨタ流の会議は、いい結果の報告でなく、失敗した例、あるいは苦戦している問題を共有することを、幹部に求めたそうです

 

失敗は成功のマザー、伸びる会社には、伸びる理由があります。

そして、会社や家庭、人生のなかで苦戦しているあなた、あなたにこそ、成功のマザーがほほ笑むはずです。

 

好景気よし、不景気なおよし。

「陰と陽」をつきつめていくと、人生には成功しか用意されていないことがわかります^^

ただし、成功のためには、素直でいること、そして失敗を隠ぺいしてはいけないこと、この2つのルールが大事であることがわかりました

 

二宮尊徳が、「陰と陽」の考え方を「一円観」として思いついたのも、自分自身の挫折がきっかけでした。

挫折をうけいれ素直に反省し、結果、失敗を成功にかえた1つの好例といえるのではないでしょうか?

 

「世界一簡単な幸せを招く家訓のつくり方」には、「陰と陽」の思想が足りなかったと猛省するばかりです。これも貴重な失敗例として素直に反省し、次回作こそ、満足ゆく作品とすることを皆様にお約束します

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■家訓があれば85%のことはうまくいく

 

「陰と陽」の子育て学。85%でハッピーに、100%を求めない子育のすゝめ

『天才児を育てるには』『有名校に合格させるには』『良い子に育てるには』そんな言葉がメディアを飛び交う中、子育ての中で迷路に入り込んでいないでしょうか?誰だって子育てに失敗したくありません。そして、願わくば出来の良い子に育って欲しいはずと思うものです。しかし、将来のためにと幼児期から塾に入れたり、習い事をさせている間に、遊ぶ時間さえも与えられなかった子供が本当に幸せな大人になれるでしょうか?

 

完璧な子育てを求めるお母さん。でも、だれも子育ての中で100点なんてとれません。世界は「陰と陽」で出来ています。光だけを求めるあまり、逆に点数を下げている・・・そんな失敗ってありませんか?そんな時、家訓をつかって、ほどほどの幸せを手に入れることをお薦めします。それが、85%の法則です。

 

85点の法則

こどもがちゃんと挨拶ができた。あるいは、みんな家に帰ってきた。当たり前の日常の生活のなかで、ちょっとした幸せをかみしめる。それが85%の法則のポイントです。

 

まずは、子育てにイライラしてしまうお母さん。安心してください、子育てとは、イライラするもの、そして、子どもは理不尽で、わがままな生き物なのです。丹念につきあいながらも、ちょっとあきらめるのがポイントです。100点から、ちょっと引いたマイナス15点をひいた85点ぐらいをめざしましょう。ただし、子育てをゆずってばかりでも、バカ殿になってしまいます。

 

時に優しく、時に厳しくすることが肝心です。そんな時、「家訓」が家にあれば、叱る基準、褒める基準ができます。たとえば、「人にされて嫌なことをしない」という家訓をつくったご家族がいました。その後、お子さんがサッカーの試合にでて、ボールもおわず立ちつくしていたそうです。試合後、お父さんが尋ねると、お子さんは、「ぼくはボールをとられたら嫌なので、ぼくもボールとらない」と答えたそうです。将来、サッカー選手になるには、ちょっと不向きなエピソードですが、お子さんの優しさが伝わるお話です。そして、100点でないにしても、85%ぐらいの幸せをご家族にもたらしてくれるのではないでしょうか?「ひとに迷惑をかけない」という家訓は、これからもたくさんの幸せをご家庭に招いてくれそうです

 

幸せは、得るものでなく「感じる」もの

そして気が付けばそこにあるもの。100点を求める子育ては、どこか窮屈で、足元にある幸せを見過ごしてしまうことにもつながります。ほどほどの幸せを、生活のなかで実感していくために、家訓づくりに挑戦いただくことをお薦めします。

 

人生は、クローズアップでみれば悲劇、ロングショットでみれば、喜劇である。(チャップリン)

 

立ち直れないような失敗も、後々考えると教訓になっていることってないでしょうか?

あるいは、挫折のおかげで、自分の人生が好転することだってあるはずです。世界は陰と陽で出来ています。

人生を、家訓という先祖から続くロングショットで、悲劇を喜劇にかえていきましょう^^

 

人生を恐れてはいけない。人生に必要なものは勇気と想像力。そしてほんのちょっとの家訓だ

 

社会にでれば、教科書なんて役に立たないのは、周知の事実です。学校や塾は勉強の仕方をおしえるもの。家庭では、もっと大切な勉強する意味、そして、感じる力を鍛えてあげてください。

 

 

 

 

■書籍概要

書籍名 : 世界一簡単な「幸せを招く家訓」のつくり方

著者  : 幡谷哲太郎 発売日 : 2015年6月1日

出版社 : セルバ出版

価格  : 1,600円+税

URL: