ノーベルの遺言とノーベル賞

アルフレッド・ノーベルの遺言 

換金可能な私の財産は、人類のために最大限貢献した人に賞の形で分配しなければならない

 

 

 

「死の商人」という俗名

人生の価値は自分が死んだ時に、決まるものなのかもしれません。そして、それは、自分自身では絶対に分からないことです・・・ しかしノーベルは、新聞の記事の間違いから、その「まさか」に遭遇することになります。

 

1888年のある朝、ダイナマイトの発明者アルフレッド・ノーベルは、自分自身の死亡記事がフランスの新聞に出て、驚きました。ノーベルの兄弟が亡くなったことを知ったそのフランスの記者は、、間違えてノーベル自身の死亡記事を新聞に載せてしまったのでした。

 

ノーベルは、間違えて掲載された自分自身の死亡記事を読んだとき、自分の発明がどう受け止められているのかを悟ります。新聞には、ノーベル自身は「ダイナマイト王」、「死の商人」として描かれ、人殺しの兵器によって巨万の富を蓄えた者として記されていました。

 

ノーベルは、この描写にショックを受けます。彼が世のため、人のために発明したダイナマイトが、はからずも戦争の道具とされ、ノーベルは、その発明者として人々から称賛を受けますが、それは彼の本意ではありませんでした。自分の死亡記事を読んで唖然としたノーベルは、自分の発明をこれ以上間違った方向に使われることがないように、用意していた自分の遺書を、全く違うものに書き換える決意をします。新たにしたためられた彼の遺書には、世界平和のために偉大な貢献をしたものに、栄誉ある賞を与えるために遺産を用いてほしい、と記されていました。今日、このノーベルの遺言が形になったものが、日本でも有名なノーベル賞が誕生したのでした

 

死後、100年たった今も、ノーベル賞の発表の際には、世界中が大騒ぎになるのが通例です。人類への貢献という切り口で、有名な学者さんから、近年では島津製作所にお勤めのサラリーマン田中さんまで、厳正な審査をもって、ノーベル賞という名誉と、1億円ちかい賞金が授与されます。

 

そしてノーベルも、その名声を冠した賞をもって、世界中にその名を今に伝えています。

 

死んでしまったとき、周囲の人にどう評価をしてもらえるのか?

新聞記者のケアレスミスから、今につづくノーベル賞が誕生しました。

 

死んでしまったとき、最後に何をのこせるか? 

ノーベルは、その財産を親戚でなく、人類のために捧げることを選択しています。

 

あなたは、死んでしまうときに、誰に、何を遺しますか?

家訓づくりは、そんな尊い意味を含んだ運動でもあります。

ノーベルさんの偉業に感謝し、今年も受賞の電話を待ちたいと思います・・・ 電話は英語かな? 

 

 

歴代の日本人の受賞者

 

20●●年 幡谷哲太郎 平和賞?

 

2019年 吉野彰 化学賞

2018年 本庶佑 生理学・医学賞

2016年 大隅良典 生理学・医学賞

2015年 梶田隆章 大村智 物理学賞 生理学・医学賞

2014年 赤崎勇・天野浩・中村修二 物理学賞

2012年 山中伸弥 生理学・医学賞

2010年 鈴木章 根岸英一 化学賞

2008年 南部陽一郎 小林誠 益川敏英 下村脩 物理学賞 化学賞

2002年 小柴昌俊 田中耕一 物理学賞 化学賞

2001年 野依良治 化学賞

2000年 白川英樹 化学賞

1994年 大江健三郎 文学賞

1987年 利根川進 生理学・医学賞

1981年 福井謙一 化学賞

1974年 佐藤栄作 平和賞

1973年 江崎玲於奈 物理学賞

1968年 川端康成 文学賞

1965年 朝永振一郎 物理学賞

1949年 湯川秀樹 物理学賞 

アルフレッド・ノーベル

 

「換金可能な私の財産は、人類のために最大限貢献した人に賞の形で分配しなければならない」

 

 

=意訳(全文)=

 

署名者アルフレッド・バルンハート・ノーベルは、以下が私の死の時点において私によって遺言される財産に関する最後の遺言であることを、熟慮の上、ここに表明する。

 (以下中略)

 残りの換金可能な私の全財産は、以下の方法で処理されなくてはならない。----私の遺言執行者によって安全な有価証券に投資された資本で持って基金を設立し、その利子は、毎年、その前年に人類のために最大の貢献をした人たちに、賞の形で分配されるものとする。この利子は、五等分され、以下のように配分される。---- 一部は、物理学の分野で最も重要な発見または発明をした人物に、一部は、最も重要な化学上の発見または改良をなした人物に、一部は、生理学または医学の領域で最も重要な発見した人物に、一部は、文学の分野で理想主義的傾向の最も優れた作品を創作した人物に、そして一部は、国家間の有効、軍隊の廃止または、削減、及び平和会議の開催や推進のために最大もしくは最善の仕事をした人物に。物理学賞及び科学賞はスウェーデン科学アカデミーによって、生理・医学賞はストックホルムのカロリンスカ研究所によって、文学賞はストックホルムのアカデミーによって、そして平和賞は、ノルウェー国会が選出する五人の委員会によって、それぞれ授与されなくてはならない。賞を与えるに当たっては、候補者の国籍は一切考慮されてはならず、スカンジナビア人であろうとなかろうと、もっともふさわしい人物が受賞しなくてはならないというのが、私の特に明示する希望である。

 

私の遺言による処分の執行者として、私はここに、ラグナール・ソールマン氏とルドルフ・リエクヴィスト氏を指名する。

 

(以下中略)

 この遺言状は、現在までの唯一有効のものであり、私の死後、万が一私の以前の遺言が存在したとしてもそれらの全てを無効にするものである。

 最後に、私の死後、私の静脈が切開され、そして切開が終了し有能な意思が明らかな死の徴候を確認したときに、私の遺体はいわゆる火葬で葬られるというのが、私の特に明示する希望である。

 

1895年11月27日 於パリ

アルフレッド・バルンハート・ノーベル

 

(※参考 矢野暢著「ノーベル賞」中公新書より一部引用)

 

 

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